
転職で年収が下がるのが怖い人へ|目先の給料だけで判断すると後悔する理由
「転職したい。でも、年収が下がったらどうしよう」
そんな不安から、今の会社を辞める決断ができない人は少なくありません。
特に20代後半から30代になると、
- 結婚
- 子育て
- 住宅ローン
- 車の購入
- 教育費
- 老後への貯蓄
など、お金に関する責任が一気に増えてきます。
20代前半なら「給料が少し下がっても、やりたい仕事に挑戦してみよう」と思えたかもしれません。
しかし30代になると、
「年収500万円から450万円になったら生活できるだろうか」
「転職して給料が下がったら家族に申し訳ない」
「今の会社に残っていた方が安全なのではないか」
と考えてしまう。
その感覚は決しておかしなものではありません。
むしろ、生活を真剣に考えているからこそ生まれる不安です。
ただし、ここで一つ知っておいてほしいことがあります。
転職で考えるべきなのは、「転職直後の年収」だけではありません。
本当に考えるべきなのは、
「5年後、10年後にどちらの会社にいる方が、自分の人生が良くなっている可能性が高いか」
ということです。
今回は「転職したいけれど年収が下がるのが怖い」という人に向けて、お金とキャリアの両面から転職を考えていきます。
転職すると本当に年収は下がるのか?
まず知っておきたいのは、
「転職=年収ダウン」ではない
ということです。
転職によって年収が上がる人もいれば、変わらない人も、下がる人もいます。
厚生労働省の「労働経済の分析」では、転職直後には賃金面でマイナスになる可能性がある一方、転職から2年後になるとその影響が消え、転職前より年収が大きく増える確率が高まるという分析も示されています。
つまり、
「転職した瞬間の年収」だけでは転職の成功・失敗は判断できない
ということです。
たとえば、
現在:年収500万円
転職直後:年収450万円
3年後:年収550万円
5年後:年収650万円
というキャリアもあります。
逆に、
現在:年収500万円
3年後:年収510万円
5年後:年収520万円
という未来もあります。
転職直後だけを比較すれば前者は「50万円の年収ダウン」です。
しかし5年間で考えれば、まったく違う景色になります。
年収が下がるのが怖いのは当然
転職サイトを見ると、
「年収よりやりがいを大切にしよう」
「人生は一度きり」
といった言葉を目にすることがあります。
もちろん、それも一つの考え方です。
しかし現実には、生活にはお金が必要です。
家賃がある。
住宅ローンがある。
子どもの教育費がある。
食費も光熱費もかかる。
だから、
「年収が下がるのが怖い」という感覚を無理に否定する必要はありません。
大切なのは、
「怖いから転職しない」
と結論を出してしまうのではなく、
「いくらまでなら下がっても生活できるのか」
を具体的にすることです。
不安は、数字が分からないと大きくなります。
▶ あわせて読みたい
「転職そのものが怖くて動けない」という人はこちら
→『転職が怖くて動けない人へ|不安の正体と最初の一歩』
「転職したいけれど怖い」という感情そのものについて、さらに詳しく解説しています。
「年収」ではなく「手取り」で考えてみる
たとえば、
年収500万円 → 年収450万円
と聞くと、
「年間50万円も減るのか……」
と思うでしょう。
月額にすると約4万2,000円です。
しかし、実際の生活への影響を考える場合は額面年収だけではなく、
手取りが毎月いくら変わるのか
を見る必要があります。
さらに、
- 通勤時間
- 残業時間
- 住宅手当
- 家族手当
- 賞与
- 退職金
- 在宅勤務
- 昼食代
- 交通費
- 転勤の有無
なども含めて考えます。
たとえば年収が30万円下がったとしても、
残業が月40時間から10時間になる。
通勤が片道90分から30分になる。
年間休日が110日から125日になる。
こんな転職ならどうでしょうか。
単純に「30万円損した」とは言えなくなります。
年収50万円ダウンで「年間500時間」を取り戻せるなら?
ここで少し違った考え方をしてみましょう。
現在の会社で、
月40時間残業しているとします。
転職後は月10時間。
月30時間減ります。
年間では、
30時間 × 12か月 = 360時間
です。
さらに通勤時間が、
往復2時間 → 往復1時間
になったとします。
年間勤務日数を約240日とすると、
約240時間。
合わせると、
年間約600時間
を取り戻すことになります。
もし年収が50万円下がったとしても、
500,000円 ÷ 600時間 = 約833円
つまり、
「1時間833円で年間600時間の自由時間を買った」
と考えることもできます。
その時間を、
家族との時間にする。
資格取得に使う。
副業をする。
運動する。
勉強する。
睡眠時間を増やす。
そう考えると、「年収だけでは測れない価値」が見えてきます。
一番怖いのは「年収が下がること」ではない
ここで少し厳しい話をします。
本当に怖いのは、
転職して年収が50万円下がることではないかもしれません。
もっと怖いのは、
市場価値が上がらない会社に10年間居続けること
です。
たとえば30歳で年収500万円。
仕事内容は毎年ほぼ同じ。
新しいスキルも身につかない。
昇給もほとんどない。
気づけば40歳。
年収550万円。
そして転職しようと思ったとき、
「あなたは何ができますか?」
と聞かれる。
そこで答えられるものがなかったらどうでしょう。
これこそがキャリアにおける大きなリスクです。
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「今の会社に残り続けて大丈夫?」と感じている人へ
→『今すぐ転職すべき危険サイン|会社に残ることがリスクになるケース』
転職するリスクだけでなく、「転職しないリスク」も一度考えてみてください。
「年収が下がる転職」と「危険な年収ダウン」は違う
もちろん、
「年収なんて気にせず転職しよう」
と言いたいわけではありません。
むしろ、年収ダウンには慎重になるべきです。
特に注意したいのは、
年収が下がるのに、将来につながるものが何もない転職
です。
たとえば、
年収500万円 → 420万円
残業時間は同じ。
仕事内容もほぼ同じ。
身につくスキルも同じ。
福利厚生は悪化。
昇給制度も弱い。
これなら、転職するメリットはかなり小さいでしょう。
一方で、
年収500万円 → 450万円
残業大幅減。
将来性のある業界。
専門スキルが身につく。
3年後に年収600万円を狙える。
市場価値も高まる。
という転職なら話は変わります。
つまり、
「いくら下がるか」だけではなく「何と交換するのか」
を見ることが重要なのです。
転職で年収を下げたくないなら「最低希望年収」を決める
年収ダウンが怖い人ほど、転職活動を始める前に数字を決めておきましょう。
おすすめなのが、
① 理想年収
例:550万円
「この金額なら迷わず転職したい」という水準です。
② 希望年収
例:500万円
現在と同程度など、現実的に狙いたい水準です。
③ 最低年収
例:450万円
これより下なら基本的には転職しない、というラインです。
この3つを決めておくと、求人を見るときに感情に振り回されにくくなります。
最低年収は「生活費」から逆算する
特に重要なのが③です。
最低年収はなんとなく決めてはいけません。
毎月、
住宅費 10万円
食費 8万円
光熱費 3万円
通信費 2万円
保険 2万円
教育費 4万円
車関係 3万円
その他 5万円
貯蓄 5万円
必要なら、
「最低でもこれだけの手取りが必要」
という数字が見えてきます。
その金額から、
自分が許容できる最低年収
を逆算します。
すると、
「年収が下がったらどうしよう」
という漠然とした恐怖が、
「年収450万円以上なら検討できる」
という具体的な判断基準に変わります。
これはかなり大きな違いです。
転職活動をしたからといって転職する必要はない
ここは非常に重要です。
転職が怖い人は、
「転職活動」と「転職」を同じものだと考えてしまう
ことがあります。
でも、この2つは別物です。
求人を見る。
転職サイトに登録する。
職務経歴書を書く。
企業に応募する。
面接を受ける。
内定をもらう。
条件を見る。
ここまで進んでも、
条件が悪ければ断っていいのです。
転職活動とは、
「会社を辞めること」
ではありません。
自分の市場価値を確認する活動
でもあります。
現在年収500万円の人が転職活動をして、
「550万円で採用したい」
と言われるかもしれません。
逆に、
「420万円程度ですね」
と言われるかもしれません。
どちらにしても重要な情報です。
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「転職して失敗したらどうしよう」と考えて動けない人へ
→『転職で失敗するのが怖い人へ|後悔しないために考えておきたいこと』
転職は一か八かのギャンブルではありません。情報を集めながらリスクを小さくできます。
年収が下がっても転職を考えた方がいいケース
では、どんな場合なら多少の年収ダウンを受け入れてもいいのでしょうか。
代表的なのは次のようなケースです。
① 心身をすり減らしている
毎朝会社に行くのが苦痛。
休日も仕事のことばかり考える。
長時間労働が続いている。
こうした状況なら、年収だけを理由に残り続けることが本当に得なのか考える必要があります。
② 将来性のあるスキルが身につく
IT、技術職、専門職など、新しい専門性を獲得するために一時的に年収が下がるケースがあります。
これは、
「年収を下げる」のではなく「未来に投資する」
という考え方もできます。
③ キャリアチェンジできる
未経験職種への転職では、最初の年収が下がることがあります。
しかし5年後の年収レンジが現在より高いのであれば、長期的にはプラスになる可能性があります。
④ 働く時間を大幅に減らせる
年収500万円・年間労働時間2,500時間
と
年収450万円・年間労働時間2,000時間
なら、
後者を選ぶ人がいても不思議ではありません。
時間も人生における重要な資産だからです。
「今の年収を失う恐怖」に縛られない
人間は、一度手に入れたものを失うことを強く恐れます。
年収500万円の人は、
「450万円になるかもしれない」
という50万円の損失を強く意識します。
しかし、
「転職したら600万円になるかもしれない」
という可能性については、それほど強く意識しません。
さらに、
「今の会社に残って5年間成長できないリスク」
も見落としがちです。
だから転職を考えるときは、
「転職した場合」
だけではなく、
「転職しなかった場合」
の未来も想像してください。
5年後の自分を2人作ってみる
紙でもスマホでも構いません。
次の2つを書いてみてください。
A:今の会社に5年間残った自分
年収はいくら?
役職は?
仕事内容は?
どんなスキルが身についている?
市場価値は上がっている?
毎日楽しく働いている?
B:転職して5年経った自分
年収はいくら?
どんな仕事をしている?
どんなスキルがある?
どんな会社から必要とされる?
働き方はどうなっている?
どちらが正解かは分かりません。
でも、
「今の年収」だけを比較するより、ずっと良い判断ができます。
年収は大事。でも年収だけがキャリアではない
年収は大切です。
きれいごとではありません。
お金があれば、
家族を守れる。
選択肢が増える。
旅行にも行ける。
教育にもお金を使える。
将来への不安も減らせます。
だから、
年収を大切にすることは間違っていません。
ただ、
「今の年収を絶対に下げない」
ことだけを最優先にすると、キャリアの選択肢を狭めてしまうことがあります。
大切なのは、
年収・時間・仕事内容・成長・将来性・働きやすさ
をまとめて考えることです。
年収が怖いなら、辞める前に転職活動を始めよう
「転職したい。でも年収が下がるのが怖い」
そう思っているなら、いきなり会社を辞める必要はありません。
むしろおすすめなのは、
今の会社に在籍したまま転職活動を始めることです。
年収500万円なら、
「500万円以上の求人だけ受ける」
でも構いません。
良い企業がなければ転職しない。
条件の良い会社が見つかったら考える。
それでいいのです。
転職するかどうかを決めてから転職活動をするのではありません。
転職活動をして、条件を見てから転職するか決めればいい。
この順番にすると、転職の怖さはかなり小さくなります。
最後に|怖いなら「年収を下げずに転職できるか」を調べればいい
転職で年収が下がるのが怖い。
その気持ちは、とても現実的です。
だからこそ、
「怖いから今の会社に残る」
とすぐに結論を出す必要はありません。
まず調べてみればいいのです。
自分の経験なら年収はいくらになるのか。
どんな会社に応募できるのか。
どんなスキルが評価されるのか。
年収を維持したまま転職できるのか。
場合によっては、
今より年収が上がる会社が見つかるかもしれません。
そして条件が悪ければ、転職しなければいい。
転職活動には、
「今の会社を辞める」
という意味だけではありません。
「自分にはどんな選択肢があるのかを知る」
という意味があります。
年収が下がるのが怖いからこそ、何も知らないまま今の会社に残るのではなく、一度外の世界を見てみてください。
あなたが守るべきなのは、
「現在の年収」だけではありません。
5年後、10年後の自分の生活とキャリアです。