
上司の指示が理解できない人へ|仕事で評価が変わる「目的をつかむ力」
「上司に言われたことをやったのに、なぜか怒られた」
「ちゃんと報告したつもりなのに、話が伝わっていないと言われる」
「自分なりに頑張っているのに、仕事ができないと思われている気がする」
そんな経験はありませんか?
特に20代・30代で、仕事に慣れてきた頃ほど、このような悩みを抱えることがあります。
仕事の流れは覚えてきた。お客様とも話せるようになった。自分で判断して動くことも増えた。
それなのに、上司から指摘される。
私自身、営業の仕事をする中で、似たような経験をしました。
ある日、長い時間をかけて進めていた案件に、大きな進展がありました。
お客様との交渉によって、それまで難しかった条件が見直され、実現に近づいたのです。
嬉しくなって、すぐに社内へ報告しました。
ところが、上司が本当に確認したかったことについて、私は十分に答えられませんでした。
そのとき気づいたのです。
仕事で大切なのは、言われたことを覚えるだけでなく、「なぜその確認が必要なのか」を理解することなのだと。
今回は、この実体験をもとに、上司の指示が理解できない原因と、仕事で評価されるための具体的な改善方法をお伝えします。
1. 上司の指示が理解できないのは、言葉だけを受け取っているからかもしれない
上司から何かを指示されたとき、あなたは何を考えていますか?
「何をすればいいのか」
「いつまでに終わらせればいいのか」
もちろん、この2つは重要です。
しかし、もう一つ大切なことがあります。
それは、「上司は何を判断するために、この仕事を依頼しているのか」ということです。
例えば、上司から「この製品の重量を確認しておいて」と言われたとします。
重量を調べて報告すれば、指示された作業は終わったように見えます。
しかし、上司が本当に知りたかったのは、重量そのものではなく、「その重量で製造設備を安全に使用できるか」だったかもしれません。
その場合、数字だけを伝えても、上司が必要としている判断材料は不足しています。
仕事では、このようなすれ違いが起こります。
言われた作業を終えることと、仕事の目的を達成することは、必ずしも同じではないのです。
2.【実体験】約1年間進めた営業案件で起きたこと
ここからは、私が実際に経験した営業の話を紹介します。
なかなか実現しなかった案件に進展があった
ある製造業のお客様から、部品の加工について相談を受けていました。
ところが、求められる品質条件や加工費の問題があり、なかなか話が前に進みません。
別の加工方法も検討しましたが、コストが合わない。
複数の会社と相談しながら、何とか実現できる方法を探していました。
そんな状況が長く続いていたある日、お客様が製品の要求条件について関係先と交渉してくださり、主要な製品について加工方法を簡略化できる見通しになりました。
それまで難しかった案件が、急に現実味を帯びてきたのです。
私はすぐに協力会社へ連絡し、品質確認用の試作品の手配を進めました。
同時に、社内へも状況を報告しました。
ところが、上司から別の確認を求められた
上司への報告では、加工方法が決まったことや、試作品の準備、今後の見積もりについて説明しました。
しかし、上司が気にしていたのは、別のことでした。
製品の重量によって、実際に設備で処理できる数量が変わること。
さらに、製品の奥まった部分まで、求められる品質を確保する必要があるのかということです。
私は案件が前進したことに意識が向いていました。
一方、上司は「本当に生産できるのか」「品質要求を満たせるのか」を判断しようとしていました。
同じ案件を見ていても、注目している部分が違っていたのです。
そして、上司から確認の目的を理解しているか問われたとき、私は自分の理解が十分ではなかったことに気づきました。
この経験で分かったこと
私は決して何もしていなかったわけではありません。
お客様と交渉し、協力会社と調整し、試作品の段取りも進めていました。
しかし、案件を前に進めることと、量産できる条件を確認することは別です。
営業として案件が進展したことは成果でした。
その一方で、上司が求める判断材料を十分に集められていなかったことは、改善すべき点でした。
一つの仕事の中には、できたことと、できなかったことの両方が存在する。
これを切り分けて考えることが、成長につながるのだと思います。
3. 上司の指示が理解できない人に起こりやすい5つのこと
① 指示された作業だけに集中してしまう
「資料を作って」
「お客様に確認して」
「見積もりを取って」
こうした指示を受けたとき、作業そのものが目的になっていませんか?
資料を作ることが目的なのか、資料を使って判断することが目的なのか。
ここを理解するだけでも、仕事の進め方は変わります。
② 相手も自分と同じ情報を持っていると思ってしまう
自分はお客様と直接話しているため、背景事情を知っています。
しかし、上司はその場にいません。
自分にとって当たり前の情報でも、上司には伝わっていないことがあります。
報告するときは、相手がどこまで理解しているのかを意識する必要があります。
③ 返事をすることが優先になってしまう
上司から質問されたとき、とっさに「はい、分かりました」と答えてしまうことはありませんか?
もちろん、返事は大切です。
しかし、本当に理解できていないなら、確認した方がよい場合もあります。
「確認したいのですが、今回は重量そのものではなく、設備で処理できる数量を判断することが目的でしょうか?」
このように聞き返せば、認識のずれを減らせます。
④ 良い結果に意識が向き、残った課題を見落とす
仕事が前に進んだときほど、嬉しい気持ちになります。
しかし、上司や管理職は、その先の問題を考えていることがあります。
営業案件なら、受注の可能性だけでなく、利益、品質、納期、生産能力などです。
良い報告をするときほど、未解決の課題も整理しておきましょう。
⑤ 指摘されたことを人格の評価だと受け止めてしまう
上司から厳しく指摘されると、「自分は仕事ができない」と感じるかもしれません。
しかし、業務上の指摘と、自分自身の価値は別です。
今回の仕事で不足していた確認事項は何か。
次はどう改善するか。
まずは、その2つを整理してみてください。
ただし、人格を否定する発言や威圧的な叱責を我慢し続ける必要はありません。
仕事で怒られると頭が真っ白になってしまう方は、こちらの記事も参考にしてください。
仕事で怒られると頭が真っ白になる|何も言えなくなる本当の理由と対処法
4. 上司の意図を理解するための5つの改善方法
方法①「何のための仕事か」を最初に確認する
仕事を依頼されたら、作業内容だけでなく、目的を確認しましょう。
例えば、次のような質問です。
「今回の確認は、見積もりを出すためでしょうか。それとも生産できるか判断するためでしょうか?」
これだけで、集める情報が変わります。
方法② 指示を自分の言葉で言い換える
上司の説明を聞いた後、次のように確認します。
「つまり、今回は品質条件を満たせるかを確認したうえで、加工方法を決めるということですね」
自分の言葉に置き換えることで、理解できていない部分が見つかります。
方法③ 判断に必要な情報を整理する
例えば、加工できるかどうかを判断する場合、次のように整理できます。
| 確認項目 | 判断したいこと |
|---|---|
| 製品の重量 | 設備に何個掛けられるか |
| 製品の形状 | 加工が難しい部分はないか |
| 品質要求 | 必要な性能を満たせるか |
| 生産数量 | 現在の設備で対応できるか |
| 加工費 | 採算が合うか |
| 納期 | 希望する日程に間に合うか |
もちろん、仕事によって必要な情報は異なります。
大切なのは、集めた情報が何の判断に使われるのかを明確にすることです。
方法④ 報告を「事実・課題・次の行動」に分ける
上司への報告では、情報を整理して伝えましょう。
例えば、次のような形です。
事実: お客様との協議によって、主要製品の加工条件が見直されました。
課題: 一部製品については、生産設備への適合性と品質要求の確認が残っています。
次の行動: 現場担当者に加工可否を確認し、結果を踏まえて見積もりを再検討します。
このように伝えると、上司も状況を判断しやすくなります。
報告の基本を詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてください。
方法⑤ 重要な内容は文章で残す
口頭で説明した内容は、時間がたつと認識がずれることがあります。
そのため、重要な案件では、決定事項や未決事項、担当者、期限を文章に残すことが大切です。
私自身も、口頭報告の後に議事内容をまとめる必要性を感じました。
文章にすることで、自分の理解が曖昧だった部分も見えてきます。
5. 上司に指摘された後、どう行動すればいい?
指摘された直後は、落ち込んだり、悔しくなったりすることもあります。
しかし、そこで自分を責め続けても、仕事の問題は解決しません。
おすすめなのは、次の3段階です。
ステップ1:指摘された事実を整理する
まず、上司が何を確認したかったのかを書き出します。
感情的な言い方があった場合でも、業務上必要な指摘と不適切な言動は分けて考えましょう。
ステップ2:自分に不足していた情報を確認する
今回の問題は、知識不足なのか、確認不足なのか、報告方法なのか。
原因によって改善方法は変わります。
ステップ3:次の報告で改善する
次に同じような仕事が来たら、指示の目的を確認してから動く。
それだけでも、以前とは違う結果につながる可能性があります。
一度の指摘で完璧になる必要はありません。
小さな改善を積み重ねていきましょう。
仕事で同じミスを繰り返す20代30代へ|7つの原因と改善方法
6.「仕事ができない」と感じる経験は転職活動でも活かせる
ここまで読んで、「自分にも似た経験がある」と感じた方もいるかもしれません。
実は、こうした経験は転職活動でも活かせます。
面接では、成功体験だけでなく、失敗から何を学び、どう改善したかを伝えることも重要です。
例えば、次のような説明ができます。
「以前は、依頼された作業を完了することに意識が向き、相手が求める判断材料まで確認できていないことがありました。その経験から、仕事の目的を最初に確認し、報告時には事実・課題・次の行動を整理するようにしています」
ただし、これは実際に改善行動を取った場合に使える表現です。
まだ実践できていないことを、面接で成果として伝える必要はありません。
まずは今の仕事で改善に取り組み、その経験を自分の言葉で説明できるようにしましょう。
転職活動に向けて経験を整理したい方は、こちらの記事も参考になります。
転職の「棚卸し」って何をする?20代30代が自分の経験・強みを見つける7ステップ
7. 改善しても上司とのすれ違いが続くなら、職場環境も確認しよう
ここまで、自分でできる改善方法を紹介してきました。
しかし、すべての問題を本人の努力だけで解決できるわけではありません。
例えば、上司の指示が毎回変わる、質問しても答えてもらえない、必要な情報が共有されないといった環境では、仕事を進めること自体が難しくなります。
まずは、上司との認識を合わせる方法を試してみましょう。
それでも改善せず、心身への負担が大きくなっているなら、部署異動や転職を検討することも選択肢です。
大切なのは、「自分が仕事に向いていない」と決めつける前に、仕事の進め方と職場環境の両方を確認することです。
仕事が向いてないサイン7選|20代・30代が続けるべきか判断する方法
転職を考える場合も、焦って退職を決める必要はありません。
求人情報を調べたり、今の職場と他社の働き方を比較したりするところから始められます。
8. よくある質問
Q. 上司の指示が一度で理解できないのは能力不足ですか?
一度で理解できないことだけで、能力不足とは判断できません。
仕事の背景知識が足りない場合や、指示自体が曖昧な場合もあります。
分からない部分を具体的に質問し、認識を合わせることが大切です。
Q. 上司に何度も質問すると評価が下がりませんか?
質問の内容や職場環境によって異なります。
ただし、理解が曖昧なまま進めて大きな手戻りが発生するより、早い段階で確認した方がよい場合も多くあります。
「ここまでは理解できましたが、この部分だけ確認させてください」と伝えると、質問の意図が明確になります。
Q. 上司の言っていることが毎回変わる場合はどうすればいいですか?
決定事項や変更点を文章で残す方法が有効です。
「前回はAという方針でしたが、今回はBに変更するという認識でよろしいでしょうか」と確認しましょう。
Q. 仕事で指摘されることが多いなら転職した方がいいですか?
指摘の回数だけで判断する必要はありません。
指摘内容が具体的で、改善する機会があるなら、成長につながる可能性があります。
一方で、人格否定や威圧的な言動が続く場合は、無理に耐え続ける必要はありません。
まとめ|仕事ができる人は、作業の先にある目的を考えている
今回の営業案件では、長い時間をかけて進めていた仕事に大きな進展がありました。
その一方で、社内への報告を通して、自分に足りなかった視点にも気づきました。
仕事では、成果が出たからといって、すべてがうまくできているとは限りません。
反対に、上司から指摘されたからといって、それまでの努力や成果がすべて否定されるわけでもありません。
大切なのは、次の3つです。
- 指示された作業だけでなく、その目的を確認する
- 相手が判断するために必要な情報を整理する
- 指摘されたことを次の行動に活かす
20代・30代で仕事に悩んでいるなら、まずは次に指示を受けたとき、こう考えてみてください。
「この仕事は、何を判断するために必要なのだろう?」
その問いを持つだけでも、仕事の見え方が少し変わるかもしれません。
そして、その小さな変化が、将来のキャリアを考えるうえでも大切な経験になるはずです。