実体験と理想

仕事で怒られて「向いてない」と思ったあなたへ|中村天風に学ぶ、仕事ができる人に変わる考え方

仕事で怒られて「向いてない」と思ったあなたへ|中村天風に学ぶ、仕事ができる人に変わる考え方

「また上司に指摘された……」

「自分は仕事ができない人間なのかもしれない」

「こんなに怒られるなら、転職した方がいいのかな」

仕事で失敗した日の帰り道。

こんなことを考えた経験はないでしょうか。

特に20代、30代は、まだ仕事のやり方が完成していない一方で、後輩ができたり、責任のある仕事を任されたりする時期でもあります。

だからこそ、

「できない自分」と「求められる自分」の差

に苦しむことがあります。

私自身、営業として仕事をする中で、会議で社長から指摘を受けることがあります。

ある日の営業会議でも、まさにそうでした。

でも、その会議を後から振り返ってみると、私はあることに気づきました。

社長から指摘されていたのは、

「もっと頑張れ」

ということではなかったのです。

むしろ、

「もっと考えて仕事をしろ」

ということでした。

そしてこの経験を、中村天風の思想を通して考えてみると、

「仕事ができないから転職したい」

と思っている人にこそ伝えたいことが見えてきました。

「なぜ3回やるの?」に答えられなかった

その日、私はある新規案件について説明していました。

試作は全部で3回。

私は納期、製品形状、数量などを説明していきます。

すると社長から質問されました。

「なんで3回に分けるの?」

私は、

「製品が入ってくるタイミングが違うからです」

と答えました。

すると、さらに聞かれます。

「それぞれ何を評価するの?」

そこで言葉に詰まりました。

確認していなかったからです。

実際の会議でも、3回に分ける理由や、それぞれの試作の目的を確認できていなかったことを指摘されました。

お客様から、

「3回試作します」

と言われた。

だから私は、

「分かりました。ではスケジュールを調整します」

と考えた。

でも社長が考えていたのは違いました。

「そもそも、なぜ3回なのか?」

だったのです。

真面目な人ほど「言われたことをやる」に陥る

ここには、仕事で伸び悩む人が陥りやすい問題が隠れています。

それが、

「言われたことを間違えずにやること=仕事」

だと思ってしまうことです。

真面目な人ほど、この傾向があります。

納期を守る。

メールを返す。

見積書を提出する。

上司に報告する。

もちろん全部大切です。

でも、それだけでは仕事は「処理」になってしまいます。

一歩上の仕事には、

「なぜ?」

があります。

なぜ、お客様はこの仕様を要求しているのか。

なぜ、この試験をするのか。

なぜ、この納期なのか。

なぜ、競合ではなく自社に問い合わせてきたのか。

この「なぜ?」が一つ入るだけで、仕事の景色は大きく変わります。

「2回塗る」ではなく「本当に2回必要なのか?」

同じ会議でもう一つ、印象的な指摘がありました。

厚い塗膜が必要な製品について、私は2回塗装する前提で考えていました。

ところが社長から、

「一回でどこまで付けられるか検証したのか?」

という趣旨の質問をされました。

私は、

「どうやって2回塗るか」

を考えていました。

社長は、

「そもそも2回塗る必要があるのか」

を考えていました。

ここにも大きな違いがあります。

もし1回で要求性能を満たせるなら、工程を減らせるかもしれません。

時間も短縮できます。

コストも下げられる可能性があります。

お客様への提案にもなります。

つまり必要だったのは、

もっと一生懸命2回塗る方法を考えることではありません。

前提そのものを疑うことだったのです。

ここで中村天風ならどう考えるだろう

中村天風が創始した「心身統一法」では、人間が本来持っている力を発揮するために、心の態度を積極的にすることが重視されています。

しかも特徴的なのは、単なる理想論ではなく、日常生活の中で実践する方法を重視していることです。

私はここに仕事にも通じるものを感じます。

上司から指摘された。

そこで、

「自分はダメだ」

「仕事に向いていない」

「もう会社に行きたくない」

と考え続けても、問題は解決しません。

だからといって、

「もっと頑張らなければ!」

と自分を追い込むだけでもない。

必要なのは、

起きた出来事と、自分の心を分けること。

「質問に答えられなかった」

これは事実です。

しかし、

「だから自分には価値がない」

は事実ではありません。

だったら、

「次は何を変える?」

と考えればいい。

指摘は「自分への否定」ではなく「改善データ」

ここから、私は仕事上の指摘を少し違う見方で考えることにしました。

上司から、

「目的は?」

と言われた。

→ 仕事を受けたら目的を確認する。

「なぜ2回やるの?」

と言われた。

→ 前提条件を一度疑ってみる。

「その後、追いかけた?」

と言われた。

→ 提出したらフォローする日まで決める。

実際、別案件では過去に問い合わせを受けた後、その後のフォローができていなかったことも会議で指摘されました。

こうして並べてみると、怒られた記録ではありません。

全部、

「仕事ができるようになるための改善データ」

なのです。

明日から仕事を5つだけ変えてみる

そこで私は、仕事を受けたときに5つのことを考えることにしました。

①目的は何か

この仕事で、お客様は最終的に何を実現したいのか。

②なぜこの条件なのか

数量、品質、納期、仕様には理由があるはずです。

③自分たちから提案できないか

言われた方法以外に、安く、早く、品質を上げる方法はないか。

④まだ分かっていないことは何か

分からないことを曖昧なままにしない。

⑤次のアクションは何か

誰が、いつまでに、何をするのか。

たったこれだけです。

でも、この5つを意識すると、仕事は「作業」から「問題解決」に変わっていきます。

そして営業マンは少しずつ変わり始める

次の営業会議。

以前なら、

「見積書を提出しました」

で終わっていた報告が変わります。

「○日に見積書を提出しました。まだ回答がないため、○日に状況確認します」

と言えるようになる。

さらに、

「お客様が一番気にしているのは価格ではなく量産時の安定性だと考えています」

と仮説を加えられる。

試作についても、

「3回行います」

ではなく、

「3回に分ける理由を確認しました。それぞれ○○を見るためです」

と説明できる。

さらに、

「量産コストを考えると1回塗りにできる可能性があるため、条件を振って検証します」

と提案できる。

同じ人です。

急に頭が良くなったわけでもありません。

知識が何倍にも増えたわけでもありません。

変えたのは、

仕事を見る角度です。

「怒られる営業マン」から「任せられる営業マン」へ

最初の頃、上司から聞かれます。

「目的は確認した?」

少し成長すると、

「はい。確認しました」

と答えられるようになります。

さらに成長すると、聞かれる前に、

「今回のお客様の目的は○○です」

と報告できるようになります。

もっと成長すると、

「目的が○○なので、こちらから△△という方法を提案したいと考えています」

と言えるようになる。

ここまで来ると仕事が変わります。

指示を受ける側から、仕事を動かす側になるからです。

仕事ができないから転職したいと思っている人へ

ここで、20代・30代で転職を考えている人に伝えたいことがあります。

「仕事ができない」

「上司から怒られてばかり」

「自信がない」

だから、

「転職した方がいいのかな」

と思っているなら、一度だけ立ち止まって考えてみてください。

あなたは本当に、

その仕事に向いていないのでしょうか。

それとも、

仕事の考え方をまだ知らないだけでしょうか。

この二つは、似ているようで全く違います。

仕事の目的を考える。

分からないことを確認する。

仮説を持つ。

一度試してみる。

結果を振り返る。

次の一手を考える。

これを半年続けてみる。

それでも、

「やっぱりこの仕事ではない」

と思うなら、転職を考えればいい。

そのときの転職は、今とは意味が変わっています。

「逃げる転職」から「選ぶ転職」へ

仕事ができず、

「ここから逃げたい」

と思って転職活動をすると、自信のない状態で会社を選ぶことになります。

「自分でも採用してくれる会社」

を探してしまう。

でも仕事を通じて、

考える力、

質問する力、

仮説を立てる力、

提案する力、

改善する力、

を身につけた人は違います。

「自分にはこういう力がある」

と分かっています。

だから、

会社に選んでもらう転職から、自分が会社を選ぶ転職へ変わります。

これが、私が考える「その先にある姿」です。

会社を「自分の能力を実験する場所」にしてみる

会社を、

「自分の価値を評価される場所」

だと思うと苦しくなります。

だったら少し考え方を変えて、

「自分の能力を実験する場所」

だと思ってみてはどうでしょうか。

今日は一つ質問してみる。

明日は一つ仮説を立ててみる。

来週は一つ提案してみる。

失敗したら、

「なるほど。この方法ではダメなのか」

というデータが一つ増える。

仕事を人生の最終試験だと思う必要はありません。

毎日の仕事は、小さな実験の連続です。

半年後、同じ会議室で

半年後。

あなたはまた同じ会議室に座っています。

上司が資料を見ながら質問します。

「この案件、試作を3回やるんだよね?」

「はい」

「なんで3回なの?」

以前のあなたなら、そこで言葉に詰まっていたかもしれません。

でも今は違います。

「確認しました。1回目は○○、2回目は△△、3回目は量産条件を想定した評価です」

そして続けます。

「それと、量産になった場合のコストを考えて、こちらから工程を減らす方法も提案しようと思っています」

上司が資料から顔を上げます。

「そこまで確認してるならいいね」

会議はそのまま次の案件へ進みます。

たったそれだけです。

誰かが拍手してくれるわけでもありません。

給料が翌日から倍になるわけでもありません。

でも、あなた自身だけは分かっています。

半年前とは違う。

「俺、仕事できるようになってきたな」

と。

最後に――転職より先に、自分の可能性を決めつけない

今の会社に残るのか。

転職するのか。

どちらが正解なのかは、人によって違います。

でも一つだけ言えると思います。

今仕事がうまくいっていないという理由だけで、自分の可能性まで否定する必要はありません。

中村天風の思想には、心を積極的に保ち、人間が本来持っている力を日常生活の中で発揮していこうという実践的な考え方があります。

仕事も同じではないでしょうか。

失敗した。

怒られた。

答えられなかった。

だったら、

「さて、ここから何を学ぼうか」

と考えてみる。

そして一つ行動する。

その小さな繰り返しが、

「仕事ができなくて転職したい自分」を、

「自分の人生を自分で選べる自分」

へ変えていくのだと思います。

転職するにしても、残るにしても、

目指したいのはそこです。

会社を変える前に、自分の可能性まで決めつけない。

今日うまくできなかったなら、

明日は一つだけ違うことを試してみる。

人生を変える最初の一歩は、そのくらい小さくていいのです。

-実体験と理想

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