
「今の会社にいて大丈夫?」20代・30代が転職前に考えたい「会社に依存しないスキル」の作り方
はじめに
「今の会社でこのまま働き続けて大丈夫だろうか」
「転職したい気持ちはあるけれど、自分には特別なスキルがない」
「今の仕事を辞めたら、自分は他の会社でも通用するのだろうか」
20代・30代で転職を考え始めると、このような不安を感じる人は少なくありません。
しかし、ここで一つ考えてみてほしいことがあります。
これからのキャリアで大切なのは、
「どの会社にいるか」だけではなく、「自分は何ができる人なのか」
ということです。
今回は、最近広がりつつある「社内副業」や「スキルシェア」という働き方をヒントに、20代・30代がこれからのキャリアで身につけたい「会社に依存しないスキル」について考えていきます。
「会社の中で副業する」という新しい働き方
最近、興味深い人事制度を導入する企業が出てきています。
それが「社内副業」です。
通常の副業というと、本業とは別の会社で仕事をするイメージがあります。
一方、社内副業では、
・営業部に所属しながら、別部署のプロジェクトに参加する
・本業とは別に、自分のITスキルを他部署で活かす
・専門知識を必要としている部署の仕事を手伝う
といった働き方をします。
なぜ企業がこうした制度を導入するのでしょうか。
理由の一つは、
社員が持っている能力を、所属部署だけに閉じ込めないためです。
たとえば営業担当者でも、
・Excelやデータ分析が得意
・Webマーケティングに詳しい
・AIツールを使える
・資料作成が得意
・プロジェクト管理が得意
など、本来の仕事内容とは違った能力を持っていることがあります。
こうした「隠れたスキル」を会社の中でも活用しようという考え方です。
そして、この流れは転職を考えている20代・30代にとっても重要なヒントになります。
これから重要なのは「会社名」より「何ができるか」
以前は、
「有名企業に入る」
「一つの会社で長く働く」
「役職を上げていく」
といったことがキャリア形成の代表的な考え方でした。
もちろん、それらにも価値があります。
しかし、働き方やテクノロジーが大きく変化する現在では、それだけで将来の安心が保証されるわけではありません。
そこで意識したいのが、
「ポータブルスキル」
です。
ポータブルスキルとは、簡単に言えば、
会社や業界が変わっても使える能力
です。
たとえば、
・課題を発見する力
・相手の話を聞く力
・わかりやすく説明する力
・社内外の人を調整する力
・業務を改善する力
・チームをまとめる力
・数字を分析する力
などです。
「営業しかやっていないからスキルがない」
と思っている人でも、
「顧客の要望を聞き出し、社内の製造部門と調整して納期まで管理した」
のであれば、
顧客折衝力・ヒアリング力・調整力・進捗管理能力
があります。
重要なのは仕事の名前ではありません。
「その仕事を通じて何ができるようになったのか」
を見ることなのです。
「自分にはスキルがない」は思い込みかもしれない
転職を考える人からよく出てくるのが、
「自分には特別なスキルがありません」
という悩みです。
しかし、本当に何もないのでしょうか。
たとえば5年間営業をしてきた人なら、
・新規顧客へのアプローチ
・既存顧客との関係構築
・見積作成
・価格交渉
・社内調整
・クレーム対応
・売上管理
など、さまざまな仕事を経験しているはずです。
事務職なら、
・Excel
・資料作成
・スケジュール管理
・業務改善
・電話対応
・社内調整
製造業なら、
・品質管理
・工程管理
・安全管理
・改善活動
・トラブル対応
などがあります。
重要なのは「仕事内容」を並べることではありません。
経験 → スキル
へ変換することです。
たとえば、
「クレーム対応をしていました」
だけではなく、
「顧客から状況をヒアリングし、製造部門と原因を確認したうえで改善策をまとめ、顧客へ説明していました」
と考えてみます。
すると、
ヒアリング力・問題解決力・社内調整力・説明力
というスキルが見えてきます。
これが転職市場で自分の価値を考える第一歩です。
20代は「経験を増やす」、30代は「強みを作る」
20代と30代では、キャリア戦略を少し変えて考えると分かりやすくなります。
20代は経験の幅を広げる
20代では、完成された専門家である必要はありません。
むしろ、
「新しいことを覚えられるか」
「これから伸びそうか」
「自分から行動できるか」
という部分も大切です。
そのため、
・新しい仕事に手を挙げる
・資格を勉強する
・AIやITツールを使ってみる
・社内プロジェクトに参加する
・副業を経験する
など、経験の幅を増やすことが将来につながります。
30代は「自分の強み」を言語化する
30代になると、企業側からは徐々に、
「何ができる人なのか」
を見られるようになります。
そこで、
「営業を10年間やりました」
ではなく、
「製造業の法人営業で新規開拓と既存顧客の深耕を経験し、技術部門との調整を得意としてきました」
というように、
経験×専門性×強み
で説明できるようにしておきましょう。
転職するか迷っているなら「社外でも通用するか」を考える
転職するべきか迷ったとき、一つ考えてほしい質問があります。
それが、
「今の会社を辞めたとして、自分の何にお金を払ってもらえるだろう?」
という質問です。
たとえば、
「営業経験があります」
だけではなく、
「新規顧客を開拓できる」
「既存顧客から追加案件を獲得できる」
「技術部門と顧客の間に入って調整できる」
という能力なら、他社でも必要とされる可能性があります。
これこそが「会社に依存しないスキル」です。
あわせて読みたい|ニュースから「これから必要になるスキル」を考える
自分の市場価値を考えるときは、「今できること」だけでなく「これから伸びる業界・仕事」を知ることも重要です。
AI・EV・半導体など社会が大きく変化するなか、20代・30代がどんなスキルを身につけ、どのように転職市場を見ればいいのかをこちらの記事で詳しく解説しています。
▶ 【2026年最新ニュースで読む】20代30代の転職戦略|AI・EV・金利上昇で仕事はどう変わるのか
いきなり会社を辞めなくてもいい
ここで大切なのは、
「キャリアについて考える=すぐ転職する」ではない
ということです。
転職に迷っている段階なら、会社を辞める前にできることがあります。
たとえば、
- 今まで経験した仕事を書き出す
- そこで身についたスキルを書き出す
- 転職サイトで同じスキルを求める求人を探す
- 転職エージェントなど第三者に市場価値を聞いてみる
- 足りないスキルを現在の会社で身につける
この順番でも十分です。
転職サイトを見るだけなら会社を辞める必要はありません。
転職エージェントへの相談も同じです。
「転職するかどうか決めていないのですが、今の経験でどんな会社へ行けるでしょうか?」
という段階から情報収集してもいいのです。
むしろ、転職する前に自分の選択肢を知っておけば、
「今の会社に残る」
という判断も含めて比較できるようになります。
「会社を辞めたい」ではなく「どんな力を身につけたいか」
仕事がつらいと、
「この会社を辞めたい」
という気持ちばかりが大きくなってしまうことがあります。
もちろん、本当につらい環境なら離れることも選択肢です。
しかし少し余裕があるなら、
「会社を辞めるか」
だけではなく、
「3年後、自分は何ができる人になっていたいか」
を考えてみてください。
会社はキャリアの目的ではありません。
自分の経験やスキルを増やしていくための「場所」の一つでもあります。
今の会社で経験できるなら、そこで経験する。
できないなら、異動を考える。
それでも難しいなら、転職を考える。
こう考えると、転職は単なる「会社からの脱出」ではなく、
自分のキャリアを作るための選択肢
になります。
あわせて読みたい|「転職したい。でも怖い」と感じている人へ
頭では「環境を変えた方がいい」と分かっていても、実際に転職へ踏み出すのは怖いものです。
「失敗したらどうしよう」「新しい会社で通用しなかったらどうしよう」と不安になって動けない人は、こちらの記事も参考にしてみてください。
怖さをなくしてから動くのではなく、怖さを抱えたまま小さな一歩を踏み出す考え方を紹介しています。
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今の会社だけで自分の価値を判断しない
もう一つ覚えておいてほしいのが、
今の会社での評価=あなたの市場価値ではない
ということです。
会社によって求められる能力は違います。
スピードを重視する会社。
正確性を重視する会社。
新規開拓が得意な人を求める会社。
既存顧客との関係構築が得意な人を求める会社。
チームを引っ張る人が必要な会社。
周囲を支える人が必要な会社。
同じ人でも、会社が変われば評価が変わることがあります。
だからこそ、
「今の会社で評価されていないから、自分には価値がない」
と決めつけないことです。
一度、外の転職市場を見てみる。
それだけでも、自分を客観的に見るきっかけになります。
あわせて読みたい|今の職場環境そのものに問題がないか確認する
「自分の能力が足りない」と思っていても、実は職場環境との相性が悪いだけというケースもあります。
特に、相談できない・上司に話しかけるのが怖い・ミスを報告しづらいといった環境では、本来の力を発揮しにくくなります。
「自分が悪い」と決めつける前に、今の職場環境も一度チェックしてみてください。
▶ 【要注意】相談しづらい職場の特徴7選|その我慢、本当に必要ですか?
まとめ|会社ではなく「自分」にキャリアを積み上げよう
これからの時代、
「この会社にいれば安心」
という考え方だけでキャリアを作るのは難しくなっていくかもしれません。
だからこそ20代・30代のうちから、
「自分は何ができる人なのか」
を考えておくことが重要です。
転職するか迷っているなら、まずは今までの経験を書き出してみてください。
そして、
「この経験は他の会社でも使えるだろうか?」
と考えてみましょう。
答えが見つからなくても、今から作っていけばいいのです。
転職活動を始めることは、必ずしも会社を辞めることではありません。
求人を見る。
自分の市場価値を調べる。
第三者に相談する。
足りないスキルを身につける。
それだけでも、自分のキャリアを客観的に見るきっかけになります。
会社にキャリアを預けるのではなく、自分自身に経験とスキルを積み上げていく。
その意識が、5年後・10年後の選択肢を大きく広げてくれるはずです。
参考
聴く日経8月24日〜28日