実体験と理想

自分らしく働きたい人へ|会社の役割と自分らしさは両立できるのか?

会社で「自分らしく働く」とは何か|組織の責任と『神との対話』から考えた、20代30代の仕事論

「もっと自分らしく働きたい」

転職を考えたことがある人なら、一度くらい思ったことがあるのではないでしょうか。

やりたい仕事をしたい。

自分の得意なことを生かしたい。

面倒な人間関係から離れたい。

上司から細かく指示されたくない。

もっと自由に働きたい。

私も、そんな気持ちはよく分かります。

ところがある日、会社で「組織運営」について話していたとき、私は少し考えさせられました。

会社では、自分がやりたい仕事だけをするわけにはいきません。

営業には営業の役割がある。

製造には製造の役割がある。

品質には品質の役割がある。

そしてリーダーには、

リーダーとして果たさなければならない責任がある。

では、

「自分らしく生きること」と、

「組織の中で役割を果たすこと」は、

どちらかを選ばなければならないのでしょうか。

そんなことを考えていたとき、偶然ある話に触れました。

『神との対話』という本で語られている、

「なぜ、この世界は存在するのか」

という壮大な問いです。

もちろん、これを宗教的・科学的な事実として受け取る必要はありません。

私はむしろ、一つの人生哲学として考えてみました。

すると不思議なことに、

会社で起きていた問題と、

「自分らしく生きるとは何か」

という問いが、一本につながって見えてきたのです。


営業部なのに、誰が何をしているのか分からない

ある日の社内協議。

営業部の組織運営について話をしていました。

そこで出てきた問題は、

「誰が何をやっているのか」

「誰の指示で動いているのか」

「誰が管理しているのか」

が曖昧になっていることでした。

本人には本人なりの考えがあります。

空いている時間に現場を手伝う。

必要だと思った仕事をする。

気づいたことを自分で処理する。

一見すると、

「自主的に動いていていいじゃないか」

とも思えます。

でも、組織として考えると話は変わります。

誰からも指示されていない仕事を勝手に始める。

本来優先すべき仕事が後回しになる。

上司が部下の仕事を把握していない。

問題が起きても、誰が責任を持つのか分からない。

これでは組織として機能しません。

そこで言われた言葉が印象に残りました。

「職責があるということは、それなりの責任がある」

ということです。


「好きなことをする」と「勝手なことをする」は違う

私はここで一つ引っかかりました。

今の時代、

「好きなことを仕事にしよう」

「自分らしく働こう」

「やりたいことをやろう」

という言葉をよく聞きます。

私自身も、そうありたいと思っています。

でも、

自分らしく働くことと、好き勝手に働くことは違う。

会社には目的があります。

営業なら仕事を獲得し、お客様との関係をつくる。

製造なら、安全に、品質を守り、納期通りに製品をつくる。

品質保証なら、品質を担保する。

それぞれが役割を果たすことで、初めて一つの会社として機能します。

サッカーで、

「自分らしくプレーしたいから」

とゴールキーパーが突然センターフォワードを始めたら困ります。

本人は楽しいかもしれません。

でもチームとしては成立しません。

仕事も似ています。


では、「自分らしさ」はどこにあるのか

ここで私は、

『神との対話』について解説した動画の内容を思い出しました。

そこで紹介されていた考え方の一つが、

この世界は、自分自身を体験するために存在している

というものです。

動画では、

昼だけしか存在しない世界では「昼」を認識できない。

夜があるから昼が分かる。

愛しかなければ、愛そのものを認識できない。

だから反対側に「恐れ」が存在する。

そんな比喩で説明されていました。

これが本当に宇宙の仕組みなのかは、私には分かりません。

でも、

人生の捉え方としては面白い。

なぜなら仕事にも、

似たようなことが起きるからです。


嫌な仕事があるから「やりたい仕事」が分かる

20代・30代で、

「やりたい仕事が分からない」

と悩む人は多いと思います。

でも、最初からやりたいことが明確な人ばかりではありません。

むしろ、

やりたくない仕事を経験する。

苦手な上司に出会う。

向いていない仕事をする。

失敗する。

怒られる。

評価されない。

そうした経験をして初めて、

「自分はこういう仕事は嫌なんだ」

「逆に、こういう仕事なら楽しい」

「人と話しているときは苦にならない」

「考えて改善する仕事は面白い」

「一人で黙々とやる方が好きだ」

と分かってきます。

つまり、

「向いていない」を知ることも、「向いている」を知るための経験

なのかもしれません。

もし今、

「そもそも自分に向いている仕事が分からない」

というところで止まっているなら、いきなり職種を決める必要はありません。

自分が苦にならないこと、なぜか興味を持てること、反対にどうしても苦痛に感じること。

そこから自分の適職を探す方法を、

「自分に向いている仕事がわからない人へ|適職の見つけ方」

で詳しくまとめています。

「やりたい仕事」を無理やり探すのではなく、これまでの経験から逆算していくのも一つの方法です。


私自身も「リーダーとは何か」を知らなかった

今回の話し合いで、私自身にも耳の痛い指摘がありました。

リーダーという立場なら、

部下が何をしているのかを把握する。

仕事を割り振る。

問題があれば指摘する。

必要なら上司へ相談する。

それも仕事だということです。

私はどこかで、

「相手は自分より年上だし……」

「強く言ったら嫌われるかな」

「本人なりの考えもあるだろう」

と考えていました。

だから曖昧にしてしまう。

でも、それではリーダーとしての役割を果たしたことにはなりません。

協議の中でも、

「正しいことをやっているなら、毅然と伝える」

「言うべきことを言わないと、自分の責任になる」

と指摘されました。

そこで気づきました。

私は、

相手に嫌われることを恐れていた

のかもしれません。


行動の根っこは「愛」か「恐れ」か

『神との対話』を紹介した動画では、人間の行動の根本を、

「愛」と「恐れ」

という二つの方向から捉えていました。

ここでいう愛とは恋愛だけではありません。

やってみたい。

面白そう。

人の役に立ちたい。

成長したい。

こんな会社にしたい。

そうした前向きな方向性を含んでいます。

一方の恐れは、

失敗したくない。

怒られたくない。

嫌われたくない。

恥をかきたくない。

損したくない。

という感情です。

これを会社での自分に当てはめてみました。

すると、結構ドキッとします。


「注意しない」という優しさの正体

たとえば部下が間違った行動をしている。

でも注意しない。

表面的には、

「本人の自主性を尊重しています」

と言えます。

でも心の奥では、

「嫌われたくない」

「面倒なことになりたくない」

と思っているかもしれません。

それなら、その行動は相手への配慮というより、

自分を守るための恐れ

から来ている可能性があります。

逆に、

「このままでは本人の評価にも良くない」

「会社としても良くない」

「だから嫌われる可能性があっても伝えよう」

と考える。

これは厳しく見えても、

根っこには相手や組織を良くしたいという思いがあります。

同じ「注意する」という行為でも、

出発点によって意味は変わります。


これは転職にもそのまま当てはまる

そして私は思いました。

これって、

転職も同じじゃないか。

「会社を辞めたい」

という結論だけを見ても、本当の気持ちは分かりません。

なぜ辞めたいのか。

ここが重要です。

「上司に怒られるのが怖い」

「失敗するのが怖い」

「周囲より評価が低いのが怖い」

「今の問題から逃げたい」

という恐れから転職したいのか。

それとも、

「もっとこういう仕事をしてみたい」

「この能力を伸ばしたい」

「こんな働き方をしてみたい」

「新しい世界を見てみたい」

という方向へ進みたいのか。

同じ転職でも、

意味はかなり違います。

そして、

「転職したい。でも自分なんか他社で通用するのだろうか」

と考えて動けなくなることもあります。

私自身、仕事で指摘を受ければ、

「自分は仕事ができないのではないか」

と考えてしまうことがあります。

そんなときにどう考えればいいのかは、

「転職したいけど自信がない人へ|怖くて動けないときにやるべき7つのこと」

で詳しく書いています。

転職するかどうかを決める前に、

まず「なぜ自分はこんなに自信を失っているのだろう?」

と考えてみる。

それだけでも、次に取る行動は変わってくるはずです。


だから「不安だから転職してはいけない」ではない

ここは誤解してほしくありません。

恐れから始まった転職が悪いわけではありません。

むしろ不安は、大切な情報です。

「この会社にあと10年いるのは怖い」

と思ったなら、

その裏側には、

「10年後はこうなっていたい」

という願いが隠れているかもしれません。

「給料が上がらないのが不安」

なら、

「もっと経済的な余裕がほしい」

という願いがある。

「成長できないのが不安」

なら、

「もっと能力を身につけたい」

と思っている。

「毎日同じ仕事なのが嫌」

なら、

「もっと挑戦したい」

のかもしれません。

不安を消そうとするのではなく、

「この不安は、自分が本当は何を望んでいることを教えてくれているんだろう?」

と考えてみる。

それだけで転職活動の意味が変わります。


会社という組織は「自分を知る場所」でもある

以前の私は、会社というものを、

仕事をして給料をもらう場所

として考えることが多かったと思います。

もちろん、それは間違っていません。

でも最近は、

もう一つの見方ができるのではないかと思っています。

会社とは、

自分がどんな人間なのかを知る場所でもある。

トラブルが起きたとき、

自分は逃げるのか。

向き合うのか。

部下が間違ったとき、

嫌われることを恐れて黙るのか。

本人のために伝えるのか。

分からない仕事が来たとき、

「無理です」

と断るのか。

「どうしたらできるだろう?」

と考えるのか。

そこで、

自分の価値観が出ます。

そして仕事で失敗したり、上司から指摘されたりした経験も、見方を変えれば自分の仕事力を鍛える材料になります。

私は以前、営業会議で試験結果を報告したとき、

「それで、何が分かったの?」

と聞かれ、答えられなかったことがあります。

そこで初めて、

「結果を報告する人」と「結果から次の仮説を考える人」には大きな違いがあることに気づきました。

その経験については、

「仕事ができる人は『正解』を知っている人ではない|仮説検証の仕事術」

で詳しく書いています。

「仕事ができない」と悩んでいる人ほど、知識を増やすことだけでなく、正解へ近づくための考え方を身につけることが大切なのだと思います。


役割があるから、自分が見えてくる

不思議なのですが、

「何でも自由にしていいよ」

と言われるより、

ある程度役割を与えられた方が自分の特徴が見えてくることがあります。

私は営業です。

だからお客様と話します。

見積をします。

技術的なことも勉強します。

社内調整もします。

そしてリーダーという立場になれば、

人を動かすことも求められます。

そこで初めて、

「自分は人に仕事を任せるのが苦手なんだな」

「嫌われることを意外と恐れているんだな」

「技術的なことを調べるのは好きなんだな」

「問題を整理して改善策を考えるのは面白いな」

と分かる。

役割によって、

自分という人間の輪郭が見えてくる。

これも仕事の面白さなのかもしれません。


半年後、私は「嫌われないリーダー」をやめた

少し時間が経ちました。

以前の私は、

部下が別の仕事を始めても、

「まあ、いいか」

と流してしまうことがありました。

でも今は聞きます。

「今、何をやってる?」

「それは誰の指示?」

「営業の仕事は終わってる?」

もちろん、怒鳴る必要はありません。

人格を否定する必要もありません。

ただ、

役割を確認する。

必要なら、

「今はこちらを優先してください」

と伝える。

最初は少し怖かった。

「細かい上司だと思われないかな」

と思いました。

でも、あるとき気づきます。

私が守るべきなのは、

「嫌われない自分」ではない。

営業部としてきちんと仕事が回る状態をつくること。

そして部下が、

「自分は何を求められているのか」

を理解できる状態をつくること。

それが私の役割なのだと。


「自分らしく生きる」とは、好き勝手に生きることではない

ここで最初の問いに戻ります。

自分らしく生きることと、

組織の役割を果たすことは矛盾するのでしょうか。

今の私は、

必ずしも矛盾しないと思っています。

役割は会社から与えられる。

でも、

その役割をどう果たすかには、自分が出る。

お客様に言われたことだけをやる営業になるのか。

一歩先まで考えて提案する営業になるのか。

問題を見て見ぬふりするリーダーになるのか。

嫌われることを恐れず、必要なことを伝えるリーダーになるのか。

そこには選択があります。


20代・30代の転職で本当に考えてほしいこと

もし今、

「今の会社では自分らしく働けない」

と思っているなら、

すぐにその感情を否定する必要はありません。

ただ、一度だけ考えてみてください。

私は何から逃げたいのか。

そして、

私は本当は何に向かいたいのか。

この二つは似ているようで違います。

「上司が嫌だから辞めたい」

で止めず、

「では、どんな人たちと働きたい?」

まで考える。

「仕事がつまらない」

で止めず、

「どんな仕事なら時間を忘れて調べられる?」

まで考える。

「給料が安い」

で止めず、

「いくら必要で、そのためにはどんな能力が必要?」

まで考える。

すると、

「辞めたい」

という感情が、

次の人生を考える材料

に変わります。


転職するかどうかより大切なこと

転職サイトを見ると、

「転職すべき人」

「転職しない方がいい人」

という記事がたくさんあります。

でも最終的な答えは、

他人には決められません。

今の会社に残る。

転職する。

部署を変える。

副業を始める。

資格を取る。

どれが正解かは、その人によって違います。

だから重要なのは、

自分は何を選ぶ人間でありたいのか

だと思います。

それでも、

「今の会社に残るべきか。それとも転職した方がいいのか」

というところで答えが出なくなってしまうことはあります。

そんなときは、感情だけで結論を出すのではなく、一度判断材料を整理してみてください。

「20代30代の転職に迷う人へ|後悔しないために考えてほしいこと」

では、転職に迷ったときに整理したい考え方をまとめています。

「辞めるか、残るか」の二択だけではなく、

自分がこれからどんな人生をつくりたいのか

から考えると、見えてくる答えも変わってきます。


人生は「自分が何者なのか」を知っていく旅なのかもしれない

『神との対話』で紹介されている世界観が、本当に宇宙の真実なのか。

私には分かりません。

でも、

「人生とは自分自身を体験する場所だ」

という考え方は、私は好きです。

成功した自分。

失敗した自分。

怒られた自分。

逃げた自分。

挑戦した自分。

人に優しくできた自分。

怖かったけれど言うべきことを言えた自分。

全部を経験しながら、

「自分はこういう人間なんだ」

と少しずつ分かっていく。

そう考えたら、

仕事で起きる嫌な出来事も、

少しだけ違って見えてきます。


今の会社が「答え」である必要はない

今の会社に一生いる必要はありません。

転職したっていい。

別の仕事をしたっていい。

私はむしろ、

いろいろ経験してみればいいと思っています。

ただ、

今いる会社で起きていることを、

すべて「嫌な出来事」として捨ててしまうのはもったいない。

上司から指摘された。

部下が思うように動かない。

仕事がうまくいかなかった。

お客様から断られた。

そこには、

自分を知るヒントがあります。

「なぜ、こんなに腹が立った?」

「なぜ、こんなに怖かった?」

「本当はどうしたかった?」

その答えを集めていく。

すると、

自分が次に進みたい方向が少しずつ見えてきます。


最後に――「恐れ」から逃げるのではなく、その先を見る

20代、30代で転職に悩んでいると、

不安になると思います。

今の会社に残っていいのか。

転職して失敗しないか。

年収が下がらないか。

自分に通用するスキルがあるのか。

でも、不安になったら、

こんなふうに考えてみてください。

「この恐れの反対側に、私は何を望んでいるんだろう?」

失敗が怖い。

なら、

成功したいのかもしれない。

評価されないのが怖い。

なら、

自分の力を認められる場所で働きたいのかもしれない。

今の会社に居続けるのが怖い。

なら、

もっと成長できる人生を望んでいるのかもしれない。

恐れは、

あなたを止めるためだけにあるのではなく、

自分が本当に望んでいる方向を教えてくれるもの

なのかもしれません。

会社という組織の中では、

自由だけでは生きられません。

役割があります。

責任があります。

やりたくない仕事だってあります。

でも、その中で、

自分はどう振る舞うのか。

何を選ぶのか。

どんな人間になりたいのか。

それを決める自由までは、

誰にも奪えません。

もしかすると仕事とは、

お金を稼ぐためだけの場所ではなく、

「自分は何者なのか」を知っていくための場所

でもあるのかもしれません。

そして、

今の会社で見つけたその答えを持って、

次の会社へ行く。

それなら転職は、

今の人生から逃げることではありません。

今までの経験を持って、次の自分を体験しに行くこと。

そんな転職ができたら、

きっと面白いと思うのです。

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