絶望の淵にいるまさひとさんへ：運命は「信じる」ものではなく「創る」もの
ペンネーム「まさひと」さん、50代男性からのご相談、拝見いたしました。仕事もお金も、財産も家も失い、絶望の淵にいらっしゃるとのこと。その状況を「運命」だと受け入れるべきなのか、それとも、この先の運命もまた「絶望」なのかと問いかけるお気持ち、お察しいたします。
大愚和尚がおっしゃるように、私たちを巡る世界には「宿命」と「運命」という二つの流れがあります。まずは、この二つの言葉の違いから見ていきましょう。
宿命と運命：変えられないものと変えられるもの
私たちが生きる上で、どうしても避けられない、自分で選択できないものが「宿命」です。
- 生まれてきた時代や国、両親。
- 生まれ持った容姿や身体的特徴。
これらは、私たちがどんなに願っても変えることはできません。まるで、旅館の屋根の下に人が100人いるように、既に定められた枠組みの中で私たちは生を受けます。太閤秀吉が貧しい農民の子として生まれたこと、お釈迦様が王族に生まれながら出家したことは、まさに彼らの宿命と言えるでしょう。
一方、「運命」とは、命を運ぶと書くように、自分の選択と努力によって変えていけるものを指します。
- 今日の食事や過ごし方。
- どんな仕事をするか。
- 誰と人間関係を築くか。
まさひとさんが「今日、牛丼を食べる」とか「スーパーに買い物に行く」と決めるように、日々の小さな選択の積み重ねが、未来の自分を形作っていくのです。
まさひとさんの「思い違い」と、運命を切り開くヒント
まさひとさんは「財産も家も取られた」とおっしゃいますが、和尚は「自分で得たものなのか？」「自分で作った家なのか？」と問いかけます。もしそうでないのなら、それは再び築き直せる可能性があります。
「仕事もお金もない」という現状は、確かに厳しいものです。しかし、仕事がなければお金は入ってこないのは当然のこと。和尚の言葉を借りれば、「仕事をしてなければお金は入ってこない。当たり前のこと」なのです。
ここで大切なのは、「ないもの」に目を向けるのではなく、「あるもの」に目を向けることです。
- 時間はありますか？
- パソコンやスマートフォンはありますか？
- 声は出せますか？ 歩くことはできますか？
これらは、まさひとさんが行動を起こすための「あるもの」です。
運命は「信じる」ものではなく「今日、何をするか」
和尚は「運命を信じるか信じないか」という問いに対し、「信じないではない。運命というのは今日何をするか。それが運命なんです」と答えます。
「絶望しかない」というまさひとさんの言葉は、今の見ている方向が「ないもの」ばかりだからかもしれません。しかし、求人広告を探し、一本電話をかけ、たとえ断られても次へ、また次へと行動を起こすことは可能です。
人生は言葉遊びではありません。具体的な行動こそが、運命を動かす原動力になります。
- まず1円を稼ぐことを考える。
- 1円稼いだら、次に10円を稼ぐことを考える。
大きな目標を立てる必要はありません。たとえ1ヶ月働いて10万円得て、そのうち9万9千円で生活し、1千円でも残せば、それは未来への貯蓄となります。
まさひとさん、運命は、ただじっと待っているものではありません。それは、あなたが今日、どんな選択をし、何をするかによって、刻々と変化していくものです。
ないものに目を向けて立ち止まるのではなく、今「あるもの」を活かして一歩を踏み出してみませんか？ その小さな一歩が、きっとあなたの運命を、希望の方向へと運んでいくはずです。
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参考
大愚和尚の一問一答 もっと早く知りたかった運命はこうやって変えられる