
「先延ばし」が創造性を高める?意外な真実と、ワービーパーカーから学ぶオリジナル思考のヒント
あなたは「先延ばし」と聞いて、どんなイメージを抱きますか?「怠け癖」「悪い習慣」「締め切り直前のパニック」…おそらく、ネガティブな言葉が頭をよぎる人がほとんどでしょう。私もかつては、締め切りの数ヶ月前に卒業論文を書き上げることを誇りに思う「前倒し派」でした。
しかし、ある時、私の考えを根底から覆す衝撃的な事実を知ることになります。それは、**「適度な先延ばしは、創造性を高める」**というもの。そして、あのメガネ業界に革命を起こした「ワービーパーカー」の創業者が、まさにその「適度な先延ばし」を実践していたというのです。
一体どういうことなのか?今回は、私がTEDの講演で学んだ、「オリジナルな思考」と「先延ばし」の意外な関係について、具体的なエピソードを交えながらご紹介します。
1. ワービーパーカーを見送った私の「痛恨のミス」
7年前、3人の学生が私の元に会社への投資を求めてやってきました。彼らは「オンラインでメガネを売る」という革新的なアイデアを持っていました。しかし、彼らの準備状況に私は首を傾げます。
「夏に会社を立ち上げる」と言いながら、ローンチ前日になってもまともに使えるウェブサイトすらありませんでした。さらに、彼らは「万が一のために別の仕事もする」とまで言ったのです。先行者利益を逃すのでは?彼らに覚悟はないのか?私は彼らに投資することを断りました。
その会社の名前は、「ワービーパーカー」。
今や世界で最も革新的な企業の一つと称される彼らの可能性を、なぜ私は見抜けなかったのか?この痛恨のミスが、私が「オリジナルな人」について深く研究するきっかけとなりました。
2. 「先延ばし」が創造性を育む?実験が示す意外な結果
私は「オリジナルな人」、つまり、現状に迎合せず、新しいアイデアを持ち、それを守るために行動する人々を研究しています。彼らは、世界に変化をもたらす創造的な思考の持ち主です。
彼らの特徴の一つとして、私は「先延ばし」に注目しました。ある実験で、参加者を以下の3つのグループに分け、与えられた課題に対する創造性を比較しました。
- すぐに取り掛かるグループ
- 最後の最後まで先延ばしにするグループ
- 適度に先延ばしをするグループ(途中で5分から10分間、マインスイーパーなどで「寄り道」をさせた)
結果は驚くべきものでした。
適度に先延ばしをしたグループは、他の2つのグループよりも16%もアイデアの独創性と有用性が高かったのです。
これはなぜでしょうか?
**適度な先延ばしは、様々なアイデアを巡らせる時間を与えてくれます。**すぐに課題に取り掛かると、私たちは最初のアイデアに囚われてしまいがちです。しかし、少しだけ「間」を置くことで、頭の中で様々な情報が整理され、新しい視点や、より独創的な解決策が生まれる余地が生まれるのです。
一方で、最後の最後まで先延ばしにする人々は、単にサボっているだけで、新しいアイデアを生み出す余地はありません。また、すぐに取り掛かる人々も、不安に駆られすぎて独創的な考えを持つ余裕がないのです。
3. 歴史上の偉人も実践していた「創造的先延ばし」
この「創造的先延ばし」は、歴史上の偉人たちも無意識のうちに実践していた可能性があります。
例えば、ルネサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチ。彼は、作品の完成までに驚くほど長い時間をかけたことで知られています。これは、彼が「負け組」だったからではなく、描いている最中にも常に新しいアイデアを模索し、作品をより良いものへと昇華させていたからかもしれません。
そして、公民権運動の指導者マーティン・ルーサー・キング・ジュニア。「私には夢がある(I Have a Dream)」という歴史的な演説は、彼が最後の瞬間までスピーチを修正し続けた結果生まれたものだと言われています。当初のスピーチ原稿には、あの有名な一節は含まれていませんでした。演説を完成させるタスクを最後の瞬間まで引き伸ばすことで、彼は自らの思考を最大限に広げ、その場で即興的に、そして心に響く言葉を生み出すことができたのです。
先延ばしは、生産性の面では「悪徳」かもしれませんが、創造性の面では「魅力」となり得るのです。
4. 疑念を恐れない「オリジナルな人」の思考法
ワービーパーカーの創業者が半年間もウェブサイトの完成を先延ばしにしていた時、私は彼らに「先行者利益を逃すぞ」と忠告しました。私は彼らを「不安で、勇気がない」と判断したのです。しかし、これも私の間違いでした。
オリジナルな人たちは、表面上は自信に満ち溢れているように見えます。しかし、彼らも私たちと同じように**不安や恐れ、そして「疑念」**を抱えています。重要なのは、その「疑念」の種類です。
- 自己への懐疑: 「自分はダメな人間だ」という疑念は、行動を止めてしまいます。
- アイデアへの懐疑: 「このアイデアは本当に良いのか?」「もっと良い方法があるのではないか?」という疑念は、挑戦や実験、そして改善へと私たちを駆り立てます。
オリジナルな人たちは、この「アイデアへの懐疑」を常に持ち、それによって自身の思考を深め、より良いものを生み出しているのです。彼らは、「自分はダメな人間だ」とは考えません。ただ、「まだ到達していないだけだ」と捉え、ひたすらに改善を続けます。
5. 「数打てば当たる」は真実:多くの駄作から傑作が生まれる
ワービーパーカーの創業者たちは、何百もの社名候補の中から「ワービーパーカー」という響きの良い、否定的なイメージのない、そして他の言葉と組み合わせることで独自のブランドを確立できる名前を選び出しました。
これは、単なる偶然ではありません。彼らは、多くのアイデアを出し、その中から最高のものを厳選するというプロセスを踏んでいたのです。
電球を開発したトーマス・エジソン、そしてバッハ、ベートーヴェン、モーツァルトといったクラシック音楽の巨匠たち。彼らは皆、膨大な数の作品を生み出す中で、ほんの一握りの傑作にたどり着いています。
本当に独創的なものを生み出す可能性を高めるためには、より多くのアイデアを生み出す必要があります。そして、その中には、もちろん「駄作」も山ほど含まれるのです。
おわりに:あなたの「先延ばし」と「疑念」を味方につける
私がワービーパーカーを見送ったのは、彼らの「先延ばし」と「不安」を、単なる怠慢や弱さと捉えてしまったからです。しかし、今なら分かります。彼らは、まさにオリジナルな思考の持ち主だったのです。
この話から、皆さんに伝えたいことは以下の3点です。
- 適度な先延ばしは、創造性を高める可能性を秘めている。
- 「自己への懐疑」は捨て、「アイデアへの懐疑」を歓迎しよう。
- 多くの「まずいアイデア」の中から、少数の「良いアイデア」が生まれることを恐れない。
今日から、あなたの「先延ばし」や「疑念」を、ネガティブなものとして捉えるのではなく、創造性や成長のためのツールとして活用してみてはいかがでしょうか。
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あなたの成功を願い、記事を終わります。
参考
TED The surprising habits of original thinkers | Adam Grant | TED