
「責任感がある人」とは、痛みを背負う覚悟のある人
医者の2つのタイプに学ぶ「責任感」の本質
ある医者の話を例に、責任感の本質について考えてみましょう。
1つ目の医者はこう言います。
「大丈夫です。私に任せてください。」
患者にとっては安心できる言葉です。しかし、医者自身にはプレッシャーがかかります。「失敗できない」と思うからです。それでもこの医者は、患者の不安を少しでも減らすために、あえてプレッシャーを引き受けます。
2つ目の医者はこう言います。
「治療法はA・B・Cがありますが、どれを選ぶかはご自身で判断してください。おすすめは特にありません。」
一見、選択肢を提示して自由に選ばせているように見えますが、裏を返せば「責任は患者にありますよ」と逃げているとも言えます。
前者が「ブレイブハート型」、後者が「チキンハート型」です。
ブレイブハートの人は、相手の痛みや不安の一部を「自分が引き受ける」覚悟があります。それは技術や自信の問題ではなく、「相手を思いやる力」の問題です。
野村證券時代のエピソード
作者が証券会社に勤めていたとき、株の提案をしたお客様からこう聞かれたそうです。
「これ、大丈夫なのか?」
その時、つい「株価は読めませんし、責任は取れません」と逃げの姿勢をとってしまった。
でも、お客様が本当に聞きたかったのは「儲かるかどうか」ではなく、
「あなたはこの提案に責任を持てるのか?」
という覚悟の部分だったと気づいたそうです。

当事者意識を持つ人と持たない人
企業の中でも「当事者意識」が強い人と、そうでない人がいます。
では、当事者意識を周囲に持たせるにはどうしたらよいのでしょうか?
結論はシンプルで、当事者意識は「持たせること」はできないというのが現実です。
でも、1つだけ可能性があるとしたら、
「この人みたいになりたい」
「こういう働き方、かっこいい」
と誰かの姿に影響を受けて、自ら目覚めてもらうことです。
当事者意識を持つ人の共通点
リクルート社では、当事者意識が高い人の共通点をこうまとめています。
- 「誰がやるか決まっていないこと」に気づき、自分から手を挙げる。
- 暇なわけでも余裕があるわけでもない。
- でも、「これは必要だ」と感じたら、自分の仕事にする覚悟がある。
つまり、浮いたボールを拾える人が当事者意識を持っているのです。
「責任感」や「当事者意識」を育てるには?
誰かに「もっと責任感を持て」と言っても意味がありません。人は、自ら「変わりたい」と思わなければ動かない生き物だからです。
だからこそ、「当事者意識を持つと仕事は面白くなるよ」「成長につながるよ」と、魅力や価値を語り続けるしかない。
「誰かの痛みを背負う覚悟を持つ人」がもっと評価される世の中になってほしい。
そして、「ブレイブハートであることがかっこいい」と思える価値観が広がれば、きっと働く現場の景色も変わってくるのではないでしょうか。
まとめ
- 責任感とは「相手の痛みを一部でも背負う」覚悟
- 当事者意識は、言って育つものではない
- ブレイブハートは「優しさ」と「覚悟」の象徴
- 自分の姿勢が、誰かの当事者意識を引き出すきっかけになるかもしれない
参考
宋世羅の羅針盤チャンネル 責任について
ポケカルビジネスTV ポケットサイズの学びを新たに 責任感がない 当事者意識を持った主体性 あるメンバーを育てるには 元リクルート 役員のマネジメント Q & A