この記事では安達裕哉氏の著書「頭のいい人が話す前に考えていること」からコミュニケーションに役立つスキルや、頭をよくするために必要な考え方などを紹介します。
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頭の良さを決めるのは「他人」
前提として頭がいいと決めるのは他人であると知っておきましょう。
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勉強は得意だったはずなのに、仕事で教わったことを社内やお客様の前ですぐに伝えられないということがあり、仕事をしていく上で頭の良さについてのギャップを感じました。
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例えば、ロット数が少なくて入荷回数が多いと都度高いコストがかかってしまうため、入荷回数を減らして1回のロット数を増やしてもらった方が1個当たりの単価が安くなるという提案ができていませんでした。
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提案がすぐにできなかった原因は①経験不足、②知識不足、③社会的知性の不足が考えられます。①、②は個人の努力で何とかするしかありませんが、③社会的知性というスキルについて、この本で学びました。
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勉強と仕事での頭の良さは違う
私はよく妻に「勉強はできるけれど頭が悪い」と指摘されます。
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家事をする時もいろんなことを並行して行った方が効率がよくなるそうで、並行してやることの組立ができていないと注意されています。
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例えば料理の場合、米を炊いている間に煮物の準備をして、煮物を似ている間にみそ汁の準備や焼き物の具材など、一つの献立を作るまでにできるだけ並行して進めた方が時間を短縮できます。
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こういった段取り力は学校の勉強で学ぶものではなく、現場で磨かれるスキルとなります。
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勉強の頭の良さとは教わったことを正しくアウトプットする力=学校的知性
学校で教わる勉強とは、教わったことを記憶したり問題集でアウトプットしたりする能力を身に付ける力のことです。
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計算が早いとか、いろんな知識があるのは学校的知性が高いと言えます。
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仕事での頭の良さとは他人に貢献する力=社会的知性
それに対し、仕事で求められる頭の良さとは他人に貢献する力を指します。
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相手の言っていることを理解して、相手が望んでいることをする臨機応変な対応力が重要です。
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仕事では1分1秒を争うこともあり、アドリブが苦手な自分にとってはなかなか辛いと感じることもあります。
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そこで、お客様への対応はメールを書いてから電話をすることを心がけています。
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メールを書くときは思考を整理して順序だてて文章を書けるからです。電話ではメールの内容に沿って伝えることで、相手にも分かりやすい内容となります。
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次の項目では、相手の話を理解するための話の聞き方についてお伝えしていきます。
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相手の話の聞き方
相手の話に集中して全部聞く
私はよく相手の話に自分の言いたいことを入れて会話をさえぎってしまうことがあるのですが、あなたはどうですか?
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自分の話すことを考えながら相手の話を聞いていると、相手の言っていることをちゃんと理解することはできません。
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お客様との打ち合わせで「○○と言いましたよね?」と突っ込まれたことがあったのですが、
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私自身〇〇に対して重要だという理解が足りなかったことと、自分の話す内容を考えながら聞いていたことが相手の話の理解不足につながってしまいました。
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相手が話しているときは、相手の話に全集中して内容をちゃんと聞くようにしましょう。
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相手の話を整理し、自分の言葉で言い換える
相手の話を聞いた後は、確認のために相手の話を整理して伝えましょう。そうすることで相手に「話をちゃんと聞いてくれている」と伝えられます。
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例えば、電化製品を買って動かなかった時のカスタマーサービスへの電話で、
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商品を開けてスイッチを押してもうまく動作しないんです。最初に起動した後にすぐに電源が切れてしまいます。電池を入れ替えてもダメで、リセットを押してもダメで動かなくて困っています。
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上記のような連絡に対し、「申し訳ございません、初期不良があったということですね」と分かりやすい言葉で言い換えることで
・相手へ内容を理解していることが伝わる
・自分が主導権を持って話を進めることができる
上記のような利点があります。
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相手の話に共感する
相手の話を聞くときは相手の感情に合わせて共感することも大切です。
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ペーシングという考え方がありますが、相手が早口なら自分も早口で、相手が水を飲んだら自分も水を飲むなど、相手と会話のペースを合わせることで相手を安心させる効果があるようです。
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ラジオのパーソナリティは「それはつらかったですよね・・」「そりゃあ、怒りますよね」などと話を聞いて、視聴者からのメッセージに対して共感している人は人気が高いようです。
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相手の状況を見て、話を聞いてもらいたいと思っている方へは共感することが重要となり案す。
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安易に意見を言わない
安達氏も著書の中で述べていますが、コンサルタントは顧客に対して意見を述べることは少ないそうです。
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もちろん求められれば意見を述べますが、その前に相手の話を聞いて意見を整理するそうです。
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私もついついいろんなことをしゃべってしまいますが、沈黙は金という言葉の通り余計なことは言わないように心がけたいです。
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頭がいいと思われる伝え方
結論から話す
ビジネスの現場では結論から伝えるようにとよく教わりますが、あなたは実践できていますか?
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上司へ報告する際、相手が一番聞きたい結論は何か?、どのように伝えたらいいかを考えてから話をするようにしています。
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話が浅くなってしまう場合にどうしたらいい?
話が浅くなってしまうとはどういうことでしょうか?大きく分けて3つの要因があると考えます。
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思い付きで言ってしまう
特に上司へ報告したり意見を伝えたりするときは思い付きで話をしないようにしましょう。
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思い付きだとロジックが弱く、相手を納得させることはなかなか難しいでしょう。
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私もよく思い付きで話をしたり行動してしまう癖があるので気をつけたいと思います。
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思い込みで言ってしまう
思い付きと似ていますが、思い込みも注意が必要です。
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一つの情報だけで物事を判断してしまったり、偏った考え方だけで判断してしまったりすると思い込みになりやすいです。
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結果論で話してしまう
あの時〇〇していればよかったなど、結果が分かってから話してしまうと意味がないばかりか、そんなこと分かっているよと反発されてしまうでしょう。
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次への反省として活かすのはいいと思いますが、結果を知ってから原因には戻れないため、原因から結果を予測できるように考えられるようにしましょう。
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話を深くするコツ
ここからは話を深くするためのコツをお伝えしていきます。
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自分の意見と真逆の意見など、客観的な立場から考える
偏った見解だけではなく、自分と真逆の意見も考えてみましょう。
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例えば、優先席と書かれた電車の席をお年寄りに譲るべきかどうか?という問いがあった場合、
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若者よりお年寄りの方が足腰が弱かったり体力がなかったりする傾向があるため、若者はお年寄りに席を譲るべきだという考え方があります。
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しかし、若者が仕事で疲れていたりほとんど寝ていなかったりしていて、席に座って寝ていたいとした場合どうでしょうか?
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一概に「若者はお年寄りに席を譲るべきだ」とは言えないのではないでしょうか?
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お年寄りを擁護するだけでなく、若者の立場で考えることで言い分が出てきます。
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あるいは客観的にどう感じるか?という視点もあります。
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それらを複合的に考慮してから話すようにすると話に深みが出ることでしょう。
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論理的思考で話す
論理的思考とは、物事を論理的に分類・整理し、筋道を立てて推測や理論を考えていく思考法です。
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論理的思考は立場も価値観も違う他人と考えを共有するために必要となります。
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雲雨傘理論という考え方がありますが、
雲が出ている → 雨が降りそう → 傘を持っていく
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傘を持っていく行動をするために、雲が出ている事実から雨が降りそうだという推測を立てる論理的思考が必要となります。
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上記のように順序立てて行動できるようにしましょう。
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なぜ?を考える
工場で不良が発生した時の原因追及の方法でなぜなぜ分析という考え方がありますが、これはなぜを5回繰り返すと真の原因にたどり着くというトヨタ式の考え方によるそうです。
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私は人を馬鹿にしたような発言をしていると指摘を受けるのですが、
なぜ1? → 言い方に気持ちがこもっていない
なぜ2? → 表面的にしか物事を捉えていない
なぜ3? → 相手のことをきちんと見ていない
なぜ4? → 自分の都合で動いている
なぜ5? → 自分の事しか考えていない
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このなぜなぜ分析の結果、自分の事しか考えていない事が原因で心がこもっていない言い方をしてしまい、相手は馬鹿にされたように感じることが分かりました。
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5W2Hで伝える
ビジネスでは必須の考え方ですが、
・いつ(When)
・どこ(Where)
・だれ(Who)
・なに(What)
・なぜ(Why)
・どのように(How)
・いくら(How much)
これらを意識して会話の中で使うだけで話に深みがでますので、ぜひ試してみましょう。
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物事の理解を深める
話に深みを持たせるには物事を深く理解することも必要です。
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例えば相手に道を教えるとき、
・どこの角を曲がるのか
・そこにある目印は何か
・角までの距離は何メートルか
できるだけたくさんの情報があった方が相手に伝わりやすく、解像度を高く伝えることができます。
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私は仕事で議事録を取る機会が多いのですが、日時、場所、メンバー、目的、内容、金額などを議事録に盛り込むことでしっかりとした内容となります。
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本を読む
本を読む目的は語彙力を高めることです。語彙力とは単語力のことで、同じ内容を伝えるのでも適切な言葉を選ぶことでニュアンスを伝えやすくなります。
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その他、本には先人の知恵が詰まっており、問題や課題に対してどのように乗り越えてきたかが書かれています。
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愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶという言葉がありますが、自分が失敗したことからしか学べない人と、本から学んで同じような失敗をしない人と、あなたはどちらの人になりたいですか?
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私も同じ気持ちで、今回この本を紹介しています。
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現場で理解する
製造の仕事では現場で製品が作られるため、「現場・現物・現実」を直視することが求められます。
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不良が出るときも現場で発生するため、原因を探る前にまず現物を確認してどのような不良内容なのかを把握する必要があります。
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先日の会議で人材育成ができていないという話が出たのですが、現場で働く人たちの話なので、現場を知らなければ何もできません。
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まずは現場の状況を理解するため、作業者一人一人にヒヤリングして
・どんなことに困っているか
・改善するためには何が必要か
などについて話し合っていきたいと考えています。
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統計データを調べる
個人の主観で話してしまうと偏った意見になりがちですので、統計データを使うと話に深みが出ます。
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例えば、大阪と京都で冬の天気の違いはあるか?という問いに対して「京都の方が雪が降りやすい」理由を以下のように説明しています。
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日本海との位置関係で、京都の方が雪が降りやすくなるためです。
この違いは、
①日本海沿岸からの距離の違い
②日本海沿岸から、それぞれの間までにある山地の高さの違い
によって起きていると考えられます。冬型で一般的な、北西の風で、それぞれを考えてみます。
①について、日本海沿岸から大阪までが約130km、京都までが約100kmで、京都の方が2割くらい短いです。②について、大阪の風上には、氷ノ山があって、1500m級です。
一方京都の風上にはそれほど高い山はなく、せいぜい1000m級です。 標高が高いほど雲をさえぎるのですが、京都の方が低いので、雪雲が届きやすくなります。(Yahoo知恵袋より)
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冬はシベリア気団の影響で日本海側の降水量が多くなりますが、日本海からの京都と大阪の距離の違い、山地の高さの違いから降水量の違いを導き出しています。
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論理的思考を組み立てるために統計データをうまく活用しましょう。
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関係者からのヒヤリング
現場・現物・現実が重要だとお伝えしましたが、関係者から話を聞くことも重要です。
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自分一人の視点だけでなく、その時現場にいた人たちがどのように見ていたのか、どんな風に評価していたのかを情報収集して総合的に判断する必要があります。
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上記のような情報を集めて改善策を考える必要があります。
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事実と意見を分ける
ここからは主に上司への報告の仕方についてお伝えしていきます。
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例えば、上司から「例の件、どうなった?」と聞かれたときに
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「多分大丈夫だと思います」という回答は適切ではありません。
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なぜ適切でないか分かりますか?
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それは、自分の意見を事実のように報告しているからです。
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ここで上司が知りたいのは「どういう結果になったのかという事実であり、意見ではない」からです。
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正しい回答例は、「進捗はまだ進んでいませんが(事実)、先方が他に頼めるところが無いと言っていたのでたぶんウチで決まると思います(意見)」のように事実と意見を分けて報告することです。
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次の項目から事実と意見の違いや、なぜ混同してしまうのかなどをお伝えします。
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事実とは?意見とは?
事実・・実際に起こった事柄、証明可能な客観的な事柄
意見・・主観的である感想から出発し、他社も納得できるような根拠を持ち合わせたもの
(本書より)
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ここでは、事実と意見は違うものだと認識しておきましょう。
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なぜ事実と意見を混同してしまうのか?
私もよくこうなったらいいという思いで報告してしまうことがあり、事実と意見を分けて報告しろと注意されています。
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この本に事実と意見を混同してしまう理由が書かれていたので、共有したいと思います。
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脳が勝手に置き換えてしまう
営業の立場では受注をいただきたいと考えておりますが、相手の発言を脳が勝手な解釈で置き換えてしまうことがあるようです。
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人は相手の話を3割しか聞けないという説がありますが、分かりづらい話は都合よく解釈してしまうこともあるので注意が必要です。
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希望的観測が入り込んでしまう
例えば、相手がお願いすると言っていないのに「お願いすると思います」と希望的観測で話してしまうと、事実を捻じ曲げて伝えてしまうことになって確認に時間がかかってしまいます。
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お願いしたという事実が無ければ「返答はありませんでした」が事実であり、「ウチの技術を理解していただき、受注をいただけるようにしていきたい」が意見なので、そこを切り分けて伝えられるようにしましょう。
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相手に確認を取っていない
例えば「大丈夫なはずです」と答える人がいます。
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聞いてみると、自分はやるべきことをやった、相手もやるべきことをやっていれば大丈夫ということらしいですが、
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相手に大丈夫かどうかを確認しないと本当に大丈夫かどうかは分かりません。
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ビジネスを進める上で確認が必要なところはしっかりと取っておきましょう。
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米国政府やグーグルがつかう質問術とは?
通常の面接に比べて入社後のパフォーマンス予測度が高い構造化面接と呼ばれる手法を紹介します。
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具体例は私が今直面している課題に対して取り組んでいきたい、あるいはすでに取り組んでいる内容を入れました。
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導入質問1:直面した状況にどのように対応したか?
会社で人が育っていないため、人材育成が必要な状況
スタッフ1人1人と面談して課題を抽出する
現状を把握してから人材育成計画を策定する
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導入質問2:仮に~のような状況に置かれたとしたらどのようにするか?
自分が現場の主任だとしたら、スタッフのスキルシートを作成する
どんなスキルが足りないのか、スキルを身に付けてもらうためにどのように教育していくかを考える
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深掘り質問1:その時、どのような状況だったか?
売上が伸びていないのに現場で残業時間が多く、残業時間を減らしていく必要がある
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深掘り質問2:その時、何をしたか?
会議体を設け、残業が発生している原因と対策について話し合った
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深掘り質問3:行動の結果、どのような変化があったか?
現場の作業員がいつ、どんな作業をしているかが見えていない状況だったため、作業予定表に情報を入れて管理していくことになった。
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作業内容の見える化を進めることで不要な残業時間を減らしていく効果が期待できる
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おわりに
この記事では安達裕哉氏の著書「頭のいい人が話す前に考えていること」の内容をお伝えしました。
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ビジネスに役立つスキルが身につく本ですので、読んでみることをお勧めします。
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(参考)
安達裕哉著 頭のいい人が話す前に考えていること
フェルミ漫画大学 【要約】頭のいい人が話す前に考えていること【安達裕哉】
中田敦彦のYouTube大学 【頭のいい人が話す前に考えていること①】知性と信頼をもたらすには「コミュ力=聞く力」が全て!
中田敦彦のYouTube大学 【頭のいい人が話す前に考えていること②】コミュ力強者の条件とは?